僕が住んでいる田舎は、毎年冬になると数十センチもの降雪がある。そして何故か初雪は豪雪で、その儀式は夜のうちにしめやかに執り行われ、朝目覚めてカーテンを開けて外を見ると、空も地面も車も人も白一色に塗りつぶされ、普段より幾らか静かな世界に、名残惜しそうに雪の精が舞っている。そんな光景を何年も見てきて、その度に思う。

クソ雪の野郎は毎年毎年飽きもせずしかも偉そうに天から降ってきやがるのだけど、きっとこいつらは流行りのおれおれ詐欺によって老人から金を奪い取る乞食連中のように、人の弱点を見抜き、そこを巧みに突くことによって致命傷を負わせ、どうだ俺の力を思い知ったか、まだまだ終わらんよ、俺は貴様らの恨み言や悲鳴や断末魔を食べて生きているポエムな世界の住人なのだからね、げらげらげら、という歪んだ精神の持ち主に違いがなく、いつも殺られっぱなしの我々は、いつか、いつしかこの低所得者をブッ殺してやろうと心に誓い、またテロには屈しないという崇高な魂を見せ付けてやりたいのだけれど、具体的な法案はいつまでたっても可決されず、足踏み状態が繰り返される。すると靴の中に雪が入り込んで、あわや凍死かという目に遭うので悲しい。ごめんなさい雪様。

しかしこれも毎年思うことなのだけど、雪が降った朝に慌ててタイヤ交換(註: 雪国においてほぼ確実に行われる生活と密接した祭儀で、車のタイヤを雪道専用バージョンに切り替えることを指す。これがないと簡単に逝く)をしている無計画人間共はなるべく早めに割腹自殺して欲しいのです。なんとなく。そんな。気がする。